2025年11月6日
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税務調査の「反面調査」とは何か
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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
税務調査と聞くと、自社が対象になるイメージを持つ方が多いですが、
実は取引先や銀行など「第三者」にまで調査が及ぶケースがあります。
それが「反面調査(はんめんちょうさ)」です。

この記事では、反面調査の意味・行われる理由・注意点・経営者がとるべき対策を簡潔に解説します。
■ 1.反面調査とは?
反面調査とは、税務署が納税者本人ではなく、取引先や金融機関などの第三者に対して行う調査のことです。
たとえば、帳簿や証憑からだけでは取引の実態が分からない場合、税務署は「相手先」に確認を行い、申告内容の裏付けを取ります。
これは、国税通則法に基づく「質問検査権」により認められた手続きです。
■ 2.なぜ反面調査が行われるのか
税務署が反面調査を行う主な理由は、次の通りです。
・帳簿・領収書などに不備や不一致がある- ・現金取引が多く、実態確認が難しい
- ・調査対象者が資料を提出しない
- ・架空取引や過少申告の疑いがある
要するに、「自社だけでは真実が分からない」と判断された場合に行われる調査です。
■ 3.反面調査の特徴と注意点
● 予告なしで行われることもある
反面調査は事前通知がないことが多く、取引先に突然、税務署から照会が入ることもあります。
● 対象は取引先・銀行・従業員など
自社に関係する第三者が調査対象になる可能性があります。
● 拒否は原則できない
質問検査権に基づくため、正当な理由がない限り調査を拒否することはできません。
■ 4.経営者が注意すべきリスク
反面調査が行われると、以下のような影響が考えられます。
・取引先に不信感を与え、関係が悪化する- ・申告内容に誤りがあれば、追徴課税や加算税が発生する
- ・帳簿不備により再調査・査察の対象となるリスク
信頼関係を重視する中小企業にとって、反面調査は無視できないリスクです。
■ 5.反面調査を避ける・乗り切るための対策
(1) 帳簿・証憑の整理
請求書・契約書・振込明細などを整然と保存し、取引の実態を説明できる状態にしておきましょう。
(2) 誠実な調査対応
税務署に対して誠実に説明・資料提供を行うこと。拒否や曖昧な回答は反面調査を誘発します。
(3) 取引先管理の徹底
主要取引先の実態や経営状況を定期的に確認し、架空取引と疑われないようにしましょう。
(4) 専門家への相談
税務調査や反面調査の経験豊富な税理士に相談し、立ち会いや事前準備を依頼するのが安心です。
■ 6.まとめ
反面調査は、「取引の実態を第三者から確認するための税務調査」です。
突然実施されることもあり、取引先との信頼関係や申告内容に影響を与える可能性があります。
日頃から帳簿整理と透明な取引を心がけ、いざという時には専門家のサポートを受けられる体制を整えておきましょう。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





