2025年12月19日

カテゴリー:

経営判断の基準を作る考え方


役員報酬の改定タイミングと注意点


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄です。



役員報酬には「定期同額給与」という税務上の原則があります。



これは、一度決めた報酬額を年度途中で自由に変更できないというルールです。



改定できるのは年1回のみで、そのタイミングを間違えると、損金算入(会社の経費として認めること)が認められず、税務調査で否認されるリスクがあります。




改定できるタイミング:決算確定後3ヶ月以内




役員報酬を改定できるのは、「会計期間開始の日から3ヶ月以内」、つまり決算確定後の3ヶ月以内です。



  • 例:3月決算の会社の場合 3月末の決算日後、定時株主総会を経て6月末までに改定(支給を開始)する必要があります。



この期間を過ぎると、次期の決算後まで改定はできません。



また、改定の際は必ず株主総会の議事録取締役会の議事録を作成し、支給額の根拠を公的に証明できるようにしておきましょう。



改定前に確認すべき3つの注意点



役員報酬の金額を決定する前に、以下の3点を必ずチェックしてください。



1. 損金算入の要件(過大役員報酬の回避)



改定後の報酬額が、同規模・同業種の役員報酬と比較して「不当に高額」とみなされないか確認が必要です。



同業他社等と比較し、あまりに高い報酬を設定すると、税務調査で経費として認められない可能性があります。



2. 所得税・住民税・社会保険料への影響



役員報酬を増額すると、会社側は社会保険料の負担、また個人側は所得税・住民税・社会保険料の負担が増加します。


「役員個人の手取り額」と「会社のキャッシュフロー」の両方に影響するため、改定前に必ずシミュレーションを行いましょう。



3. 「定期同額」の原則を厳守する



一度決めたら、その事業年度が終わるまで金額を上下させることはできません。



「利益が出そうだから今月だけ上げる」

「資金繰りが苦しいから下げる」



といった変更は原則認められません。



補足:一時的な調整をしたい場合 毎月の報酬を動かすことはできませんが、あらかじめ税務署に届け出を行う「事前確定届出給与」を活用すれば、役員賞与として損金算入させることが可能です。



まとめ



役員報酬の改定は、年1回・決算後3ヶ月以内というルールがあります。



  1. 1.損金算入の妥当性(金額が適切か)
  2. 2.社会保険料の負担増(手取りはどう変わるか)
  3. 3.議事録の備え(証拠書類があるか)



これらを慎重に検討し、適切なタイミングで手続きを行いましょう。



判断に迷う場合は、事前に顧問税理士へ相談することをおすすめします。


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄

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