2025年12月20日
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クラウド会計導入で経理はどう変わる?DXの第一歩
365日ブログ
3064日目
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
中小企業の経理業務は、クラウド会計の導入によって劇的に変化します。
これは単なるソフトの変更ではなく、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩となり得る重要なステップです。

クラウド会計導入で実現する主なメリットは以下の通りです。
・「いつでもどこでも」の実現:インターネット環境があれば、自宅や外出先からも帳簿入力や確認が可能。リモートワークへの対応がスムーズになります。- ・自動連携による効率化:銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込むため、手入力の手間とミスが激減します。
- ・税理士とのスムーズな連携:リアルタイムでデータを共有できるため、資料送付の手間が省け、早期のアドバイスを受けやすくなります。
- ・法改正への柔軟な対応:電子帳簿保存法やインボイス制度など、複雑化する法要件にも、システムのアップデートでスムーズに対応可能です。
導入前後の具体的な変化
クラウド会計を導入することで、現場では具体的にどのような変化が起きるのでしょうか。代表的な事例をご紹介します。
作業時間の削減
銀行取引明細やクレジットカード明細の自動取り込み機能により、通帳を見ながらの手入力作業が大幅に削減されます。
リアルタイムでの経営判断
従来は月末締めのあと、翌月中旬に試算表を見て初めて業績を把握していましたが、クラウド会計ならリアルタイムで損益や資金繰りを確認できます。
経営者がスマートフォンからいつでも売上や利益をチェックできるため、迅速な意思決定が可能になります。
複数拠点での業務効率化
支店や営業所が複数ある場合、各拠点のデータをリアルタイムで集約できるため、本社での月次集計作業が不要になります。
また、全拠点で統一された入力ルールを適用しやすく、経理データの品質向上にもつながります。
導入時の注意点
メリットの多いクラウド会計ですが、導入を成功させるためにはいくつか注意点があります。
初期設定の重要性
クラウド会計を最大限に活用するには、初期設定が命です。
特に「勘定科目の設定」や「銀行口座連携の設定」、「自動仕訳ルール」などは、導入時にしっかりと行う必要があります。
不安な場合は、税理士や専門の導入支援サービスを活用することをおすすめします。
セキュリティ対策
大切な財務データをクラウド上に保存するため、セキュリティ対策は必須です。
・ID・パスワードの使い回しを避ける- ・二要素認証(2FA)を設定する
- ・アクセス権限を適切に管理する
これらを徹底し、定期的なバックアップも忘れないようにしましょう。
従業員の教育とサポート
従来のインストール型ソフトやエクセル管理から移行する場合、操作感の違いに従業員が戸惑うことがあります。導入初期はサポート体制が充実しているサービスを選び、社内勉強会を開くなどして定着を図りましょう。
費用対効果について
クラウド会計のランニングコストは、従業員数や機能によって異なりますが、一般的に月額6,000円前後〜です。
また、人事労務など給料計算ソフトと連動する場合には、従業員の人数によって従量課金となる場合があります。
一見コスト増に見えるかもしれませんが、以下の効果を考慮すると、トータルコストは下がるケースが大半です。
・人件費の削減:入力作業やチェック作業の大幅短縮- ・機会損失の防止:迅速な経営判断による利益と資金繰りの可視化
年間で数十万円規模の実質的なコスト削減につながることも珍しくありません。
導入への6つのステップ
スムーズに導入を進めるための標準的なステップは以下の通りです。
1.現状の業務フローを整理:現在の経理業務の流れを可視化し、課題を明確にする- 2.サービス選定:自社の規模や業務内容に合ったクラウド会計サービスを選ぶ
- 3.無料トライアル:まずは1ヶ月程度の無料期間で、実際の使い勝手を確認する
- 4.初期設定:税理士や導入支援サービスと連携し、適切に設定を行う
- 5.段階的な移行:いきなり全業務を変えず、まずは現金出納帳から始めるなど段階を踏む
- 6.定期的な見直し:運用開始後も、自動仕訳のルールなどを見直し、効率化を進める
まとめ
経理DXの第一歩として、クラウド会計は最も取り組みやすく、かつ効果を実感しやすいツールです。
作業時間の削減だけでなく、リアルタイムでの数値把握による「攻めの経営」が可能になります。
まずは無料トライアルなどを活用して、自社の業務フローにフィットするか確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





