2025年11月10日
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自製か購入か(Make or Buy)の意思決定:コスト比較だけで判断する危険性
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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
「自社で作るか、外部から購入するか」という自製か購入か(Make or Buy)の判断は、多くの企業が直面するテーマです。
単純なコスト比較で判断されがちですが、数字の安さだけでは正しい結論にたどり着けません。
長期的な競争力を左右する経営判断として、より広い視点が求められます。

コスト比較の落とし穴
見た目のコストだけで判断すると、次のようなリスクを見落とします。
① 隠れたコスト
・品質・納期管理の手間- ・情報漏洩・技術流出のリスク
- ・取引管理コスト
仕入価格が安くても、これらを含めると実質コストは高くなることがあります。
② 内部資源の活用不足
遊休設備や技術者があるなら、自製の方が効率的な場合も。単純な価格比較では見えない価値です。
③ 技術力・競争力の低下
外注化によりノウハウの蓄積機会を失うと、長期的に競争力を失うリスクがあります。
判断に必要な2つの視点
自製か購入かの意思決定では、定量分析(コスト)と定性評価(戦略価値)を併せて考えることが重要です。
・定量面:原価、投資回収、シナリオ比較- ・定性面:技術維持、品質安定、リスク管理
両面を整理することで、短期的コストと長期的価値のバランスが見えてきます。
実務で使える3ステップ
1.見えるコストを比較(原価・仕入・固定費)- 2.見えないリスクを洗い出す(品質・納期・情報)
- 3,将来価値を評価する(技術・差別化・安定性)
この3軸で判断すれば、「安い方」ではなく「強い方」を選べます。
まとめ
自製か購入かの判断は、単なるコスト削減策ではなく、企業戦略そのものです。
短期的な数字ではなく、「5年後も強いか」を基準に考えることが重要です。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





