2021年11月28日
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2022年1月から施行される電子帳簿保存法の対応は、最低限この3つだけ対応しましょう
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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です
来年の2022年1月から施行される改正後の電子帳簿保存法
少しずつクライアントに案内をかけていますが、
「面倒くさすぎます」
「結局、どうしたらいいんですか」
こんな反応を多くいただいています
予想通りの反応です(笑)
上のブログでも以前書きましたが、
今回全業種に関係しているのが電子取引です
電子データで受領したものは
電子で保管していくことが義務化されます
この電子取引に対応するために、
電子取引の保存要件として2つあります
下記は国税のリーフレットからの抜粋です
大きく分けると2つありまして、
真実性の要件
可視性の要件
です
簡単に伝えると、
真実性の要件とはデータを改ざんできない仕組みを作ってね
可視性の要件とはデータをすぐ検索できる仕組みを作ってね
ということです
順番に見ていくと、
まずは真実性の要件の話です
この真実性の要件の①~③の部分のタイムスタンプや
改ざんできように履歴が残るシステムを導入するのは
追加のコストが発生してしまいます
そのため、
この電子帳簿保存法の最低限の部分だけに
対応できれば良いという考えの方にはおすすめしていません
特に利益が生まれる制度ではないですし、
それだけの追加のコストが発生するのは、ね・・・
おすすめしているのは④の事務処理規定の作成です
この事務処理規定のひな形は国税のホームページに公表されています
こんなひな形です
電子取引に対する会社の管理体制を明記します
ワードで公表されていて、
自社用に数カ所更新するだけです
補足で、個人的に上記の規程に
追加しておくとより望ましいと思っている項目があります
それは、
・規定自体を変更するときの手順
・いつ時点の規程なのかの明記
です
国税庁のひな形ではここまでの記載は無かったのですが、
今後電子取引自体どんどん変わっていく分野ですし
規程自体を変更することはよく起こりうると思われます
そのときに規程自体を変更するときに、
例えば「取締役会の承認を必要とする」などの
手順を書いておくとより望ましいと考えています
また規定自体も変更していくなら、
いつ時点の規程かを書いておくとより明瞭になりますね
次に可視性の要件の話です
これについては、
電子データをすぐ検索できるように仕組を作る必要があります
こちらについては大きく分けて2つありまして、
・ファイル名を①取引年月日 ②取引金額 ③取引先 に変更
・ファイル名は連番管理+エクセルなどの管理シートで管理する方法
です
下記もリーフレットからの抜粋です
例えばアマゾン等のサイトから
領収書のPDFをダウンロードをして、
①取引年月日 ②取引金額 ③取引先 にファイル名を変更をします
また別の保管方法として、
ファイル名は連番管理だけしておいて、
エクセル等で連番に紐づいた内容を
記載する方法も認められています
上記の国税のURLに、
索引簿というひな形の例示が公表されています
ファイル名は①、②、③・・・としておいて、
詳細な内容はエクセル等で記載をしていくやり方です
弊社の体制で言えば電子取引はそこまで多くないので、
前者のファイル名自体を変えていく方法で管理していく方針です
ここは会社の電子取引の内容や体制によって変わりそうです
上記の真実性の要件と可視性の要件は税務上の要件ですが、
最後に考えておきたいのが電子取引を保管する方法です
これらの電子取引のデータは
あくまで電子上の帳簿のため、保管義務があります
青色申告を使用する場合には
最低でも7年間の保存義務、
税務上の特典である繰越欠損金を使用する場合には
最大で10年保管しなければなりません
パソコンのローカルに保存をすると、
仮にそのパソコンが故障・紛失を
してしまってはデータそのものが
無くなるリスクがあります
そのためローカルに保存はおすすめはしていません
おすすめの方法の1つは、
クラウドサービスの利用です
もうすでに会社で、
Googleドライブやドロップボックスなどの
クラウドサービスを利用している場合には
クラウド上に保管をしていきましょう
でもコスト等の理由から、
そのようなサービスを利用していなくて
今後もクラウドサービスを利用しないという方も
いらっしゃると思います
そのような方は、
いったんローカルのパソコンに保管をして、
決算が終わったタイミングでCD-Rにバックアップを取りましょう
CD-Rは1枚数十円程度ですし、
コスト面では一番負担が少ない方法です
まとめると、
①規定を作成する
②電子取引の把握⇒ファイルを保管する
③保存先をクラウドかCD-Rにする
この3つをやっておけば、
最低限の対応はクリアです
とはいえ電子取引もどんどん進化していく分野ですし、
我々もまだまだ手探りの部分もあります
現段階では完璧に運用できなくても
すぐに青色申告の取消しには
ならないという見解が公表されています
完璧に運用は難しくても、
やれる範囲でやっていくというスタンスでも
税務調査等の心証は変わると思われます
実際に運用が始まっていけば事例も貯まっていきますし、
またお役に立つ情報があれば発信していきます
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄