2026年3月22日

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事業承継


事業承継は株だけ渡せば終わりではない

公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。



「株を渡せば承継は終わり」と考えてしまう方は、少なくありません。



多くの経営者は、税務・法務の手続や株式の持ち方に意識を向けがちです。



もちろん、それらは重要です。



ですが、それだけで事業承継が完了するわけではありません。



株式は、あくまで経営権を持つための権利にすぎません。



権利だけを渡しても、中身まで有機的にに引き継がれるわけではないのです。



後継者が適切に判断できるのか。

顧客や取引先との信頼関係を引き継げるのか。

従業員が納得し、安心して動けるのか。



こうしたものは、自然と承継できるものではありません。



承継で押さえたい三つの視点



まず大切なのは、経営の「なぜ」を共有することです。



何を守ってきたのか。

どこに投資してきたのか。

どのようなリスクを負っているのか。



こうした判断の背景が共有されていなければ、

後継者の経営は場当たり的になりやすくなります。



これまで暗黙知として処理されてきたことを言語化し、後継者と対話する時間を持つことが欠かせません。



過去の試行錯誤や失敗の履歴を残すことも、同じ失敗を繰り返さないための大事な投資です。



次に重要なのが、人と仕組みの承継です。



役員や幹部の役割、承認フローなどを整理しないまま株だけを渡すと、現場は混乱します。



権限の空白が生まれ、かえって経営が不安定になることもあります。



特に、社長の決裁に依存してきた会社ほど注意が必要です。



後継者への権限移譲を段階的に進め、社内外に「次はこの人が担う」という姿を見せていかなければ、承継は表面だけで終わってしまいます。



さらに見落とせないのが、外部からどう見えるかという視点です。



金融機関や主要取引先が見ているのは、単なる社長交代ではありません。



この会社がこれからも安定して事業を続けられるか、関係性を維持できるのかが重要です。



そのためには、説明責任と継続的なコミュニケーションが不可欠です。



個別事情によって進め方は異なりますが、関係者との合意形成は早めに進めましょう、



必要に応じて専門家にも相談しながら、社内の意思決定と外部への説明の順序を整えていくことが大切です。



まとめ



株の移転は、事業承継のゴールではなく出発点です。



本当の承継とは、経営者が持ってきた判断基準や信頼関係、組織を動かす力を、次の世代へ丁寧に渡していくことです。



手続だけで終わらせず、現場と向き合う時間をしっかり確保することが大切です。



それが、結果として会社を守る最短ルートになります。



一気に進めるよりも、段階を踏んで着実に引き継いだ方が、結果的に上手くいきます。



事業承継は様々な課題を見直す機会でもあります。



公認会計士・税理士
畑中 外茂栄

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