2025年9月24日
カテゴリー:
後継者が策定する、経営戦略

365日ブログ
2,977日目
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
事業承継は単なる「世代交代」ではありません。
新しい経営者が自らのリーダーシップを発揮し、
会社を継続的に成長させるための経営戦略の再構築の機会でもあります。
今回は、後継者が勝ち残るために必要な「属人性からの脱却」と「中期経営計画の立案」について解説します。

1. 承継後の「継続して栄える」体制づくり
多くの現経営者が抱える不安は、
「自分が退いた後も会社は利益を出し続けられるのか」
という点です。
後継者にとって重要なのは、承継直後の安定経営を確保すると同時に、
将来にわたり利益を生み出す仕組みを構築することです。
・財務数値に基づいた中期経営計画の策定- ・業務マニュアルの整備
- ・KPI(重要業績評価指標)の導入
これらを通じて、属人化した意思決定から「仕組みで回る会社」へと進化させる必要があります。
2. 後継者主導の戦略立案
経営計画の策定は、現経営者の知見を尊重しつつも、
後継者自身が主体的に進めることが不可欠です。
様々なフレームワークがありますが、
一例でいえばSWOT分析(強み・弱み・機会・脅威の整理)があります。
・強みを活かし、弱みを克服する施策- ・外部環境(業界動向・市場変化)に適応した成長戦略
- ・DX(デジタルトランスフォーメーション)や人材育成を織り込んだ中期計画
こうしたアプローチにより、後継者自身のリーダーシップを示すことができます。
3. 属人的営業からの脱却
従来、トップ営業によって契約を獲得していた企業では、
現経営者の引退後に売上が落ち込むリスクがあります。
そのため、後継者が取り組むべきは「社長一人に依存しない営業・マーケティング体制の構築」です。
・若手営業マンの育成プログラムの導入- ・CRM(顧客管理システム)の活用による営業の見える化
- ・SNS・ECサイトなどオンライン販売チャネルの拡大
属人性を排除し、チームとして成果を上げる仕組みを作ることが、中期的な成長の鍵となります。
実際に弊社ではマニュアルなどまったく無い状況から、
0ベースでマニュアルの策定から始めました。
4. 大胆な経営改革の実行
事業承継は、単なるバトンタッチにとどまらず、経営改革を進める絶好のタイミングでもあります。
・収益性の低い事業の整理- ・成長市場への新規参入
- ・DX推進やSDGsを意識した事業ポートフォリオの再構築
創業以来の事業モデルを見直すことで、次の10年、20年を見据えた経営基盤を築くことができます。
まとめ:属人性を脱却し、持続可能な経営へ
後継者が成功するためには、現経営者のスタイルをそのまま引き継ぐのではなく、新しい経営環境に対応した「仕組み経営」へ転換することが求められます。
中期経営計画の立案と実行は、その第一歩です。
事業承継はゴールではなく、新たな成長戦略のスタート地点でありイベントです。
後継者として主体的に未来を描き、組織全体を巻き込んで実行することが、
勝ち残るための最大のポイントです。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄