2025年9月25日
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株式評価・対策編

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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
事業承継において、自社株の評価は避けて通れない重要テーマです。
自社株は単なる資産ではなく、会社を支配する権利そのものでもあるため、
後継者への承継の成否を左右します。
本記事では非上場株式の基本的な知識について整理します。

1. 自社株が持つ二つの価値
自社株には大きく分けて次の二つの価値があります。
1.財産的価値
相続や贈与の際に課税対象となる価値です。後継者にとっては相続税や贈与税の負担を直接的に左右します。
2支配権的価値
株主総会における議決権や会社経営に関与する権利です。過半数を握るかどうかで会社の意思決定が大きく変わるため、事業承継において最も重要な意味を持ちます。
2. 非上場株式の評価方法の概要
非上場会社の株式は市場価格が存在しないため、税務上は定められた方式により評価されます。代表的な方法は以下の通りです。
・類似業種比準価額方式
上場企業の株価を参考にしながら、利益・配当・純資産の3要素を基に算出。業績が好調な企業でも、純資産価額方式より低く評価されるケースが多い。- ・純資産価額方式
会社の貸借対照表をベースに、資産・負債を時価評価して算出。純資産が厚い企業は高い評価額になりやすい。 - ・併用方式
上記二つを組み合わせ、会社の実態に即した評価を行う。
評価方法によって株価が大きく変動する点が、事業承継対策における重要ポイントです。
3. 納税資金の確保
親族内承継では、後継者が自社株を引き継ぐ際に多額の相続税・贈与税が発生します。
そのため、まずは現状に沿って株価評価をし、後継者や親族が納税に耐えられる納税資金を確保できているか確認しましょう。
4. 効果的な株価引下げの定石
株価を適正に引き下げるための典型的な方法には次のようなものがあります。
・役員退職慰労金の支給
経営者が引退する際に支給する退職慰労金は、会社の利益を減少させる効果があり、株価評価の引下げにつながります。- ・非経常的利益の除外
臨時的に発生した一時的な利益は、会社の本来の収益力を示すものではありません。株価評価においてはこれらを除外することが適切です。
まとめ:自社株評価を理解し、早めの対策を
事業承継における自社株の評価は、単なる「税金の問題」にとどまらず、会社の存続や後継者の経営基盤に直結します。
ただ、納税金額を減らすために過度な節税に走ってしまい、会社を毀損させてしまっては本末転倒です。
まずは現状を可視化していきましょう。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄