2026年1月7日

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経営判断の基準を作る考え方


利益が出ても役員報酬を据え置く判断基準とタイミング


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄です。 



黒字転換を果たした企業において、経営者が頭を悩ませるのが「役員報酬を上げるべきか、据え置くべきか」という判断です。



せっかく利益が出ているのに報酬を据え置くのは、一見すると経営者としてのうまみがないように思えるかもしれません。



しかし、長期的な経営の安定性財務戦略を考えると、あえて「据え置き」を選択すべきケースも少なくありません。



今回は、利益が出ていても役員報酬を据え置くべき「3つの判断基準」について解説します。





1. 債務超過の解消前(純資産がマイナスの状態)



まず検討すべき基準は、会社が「債務超過」の状態にあるかどうかです。



純資産がマイナスの状態では、金融機関からの信用格付けが低くなり、融資などの取引において非常に慎重な姿勢が求められます。



この時期に役員報酬を増額してしまうと、以下のようなデメリットが生じます。



  • ・利益の内部留保が進まず、債務超過の解消が遅れる
  • ・金融機関から「会社の再建よりも個人の報酬を優先している」と判断されるリスクがある



まずは報酬アップよりも内部留保の蓄積を優先し、貸借対照表(B/S)を正常化させることが、将来的な融資枠の拡大や金利低下につながります。



2. 繰越欠損金が残っている期間



次に、過去の赤字である「繰越欠損金」が残っている期間も、据え置きを検討すべきタイミングです。



繰越欠損金がある限り、単年度で黒字が出ても、過去の赤字と相殺されるため法人税は発生しません(あるいは少額で済みます)。



通常、役員報酬を上げる動機の一つに「法人税の節税」がありますが、この期間においては報酬を増額しても税務上のメリットは限定的です。



無理に個人の所得税・住民税・社会保険料を増やしてまで報酬を取るよりも、会社にキャッシュを残し、将来の設備投資や運転資金に充てる方が、長期的な経営基盤の強化につながります。



3. 利益が一時的な要因の場合



最後に重要なのが、その利益が「一時的なものか、持続的なものか」の見極めです。



  • ・たまたま大型案件が重なった
  • ・一時的な経費削減効果が出た
  • ・為替の影響で利益が膨らんだ



もし利益増が上記のような一時的な要因であれば、来期も同じ利益が出るとは限りません。



役員報酬は一度上げると、業績が悪化したからといって期中に簡単には下げられない(定期同額給与の原則)ため、資金繰りを圧迫する原因になります。



一時的な利益であれば報酬は据え置き、「次の期の業績」もしっかりと確認してから判断するのが賢明です。



まとめ:総合的な判断で最適なタイミングを



利益が出たからといって、すぐに役員報酬を上げる必要はありません。



  1. 1.債務超過の解消(金融機関対策)
  2. 2.繰越欠損金の状況(税務メリットの有無)
  3. 3.利益の持続性(将来予測)



これらを総合的に判断し、会社と個人の手残り資金が最大化される最適なタイミングを見極めていきましょう。


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄

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