2026年1月9日
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後継者の有無で変わる戦略:親族内承継とM&Aの違い
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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
事業承継を考える際、「後継者の有無」は戦略を大きく左右する分岐点となります。
親族内に適任者がいれば「親族内承継」を第一に検討し、いなければ「M&A(第三者承継)」という選択肢を視野に入れる必要があります。

1. 親族内承継:理念と文化をつなぐ
親族内承継は、経営者の子供や親族を後継者として事業を引き継ぐ、最も伝統的な方法です。
親族内承継のメリット
・理念の継承: 創業者の経営理念や会社の文化を自然な形で引き継ぎやすい。- ・関係性の維持: 従業員や取引先との信頼関係が維持されやすく、事業の継続性が高い。
- ・税務メリット: 「事業承継税制」を活用することで、相続税や贈与税の納税猶予・免除が受けられる可能性がある。
注意点とリスク
・育成期間: 後継者に経営能力が備わっていることが大前提であり、長期的な育成期間が必要となる。- ・相続トラブル: 遺留分の問題や、後継者以外の相続人との間でトラブルが起こるリスクがあるため、遺言書などの事前対策が不可欠です。
2. M&A(第三者承継):事業の拡大と創業者利益
M&Aは、外部の企業や投資家に事業を売却する方法です。親族に適任者がいない場合や、事業のさらなる成長・規模拡大を図りたい場合に有力な選択肢となります。
M&Aのメリット
・後継者不在の解消: 親族に適任者がいなくても事業を存続できる。- ・創業者利益: 売却代金を確保できるため、引退後の生活資金や、相続税の納税資金に充てることができる。
- ・事業シナジー: 買い手企業のノウハウや販路を活用し、事業を成長させられる可能性がある。
注意点とリスク
・環境の変化: 従来の経営方針や企業文化が変わり、従業員の雇用条件や取引先との関係に影響が出るケースがある。- ・コストと時間: 買収価格の交渉やデューデリジェンス(買収監査)など、成約までに専門的な準備とコストがかかる。
3. いずれも「5年前」からの準備が理想的
後継者が「いる場合」と「いない場合」では、準備のアプローチが異なります。
・親族内に適任者がいる場合 早期から後継者育成を開始し、段階的に経営権を移譲する計画を立てます。並行して、自社株の生前贈与や、事業承継税制の適用要件を満たすための準備を進めましょう。- ・親族に適任者がいない場合 M&Aを視野に入れた「磨き上げ」が必要です。会社の財務状況を整え、不要な資産を整理するなど事業の魅力を高める施策を講じることで、買収価値(売却価格)を最大化できます。
まとめ:事業承継は「待ったなし」の課題
円滑なバトンタッチのためには、経営者の引退予定時期から逆算し、可能であれば5年ほど準備期間があると良いと考えています。
まずは後継者の有無を早期に確認しましょう。
その上で、それぞれの選択肢の特徴を正しく理解し、自社の状況に最適な戦略を選択することが成功の鍵となります。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





