2025年9月23日
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事業承継後の新体制を機能させるコツ

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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
事業承継というと「株や相続税」といった話題が目立ちますが、
実際には組織の有機的に機能させることが一番のカギです。
名義だけ社長を交代させても、
「実は会長が全部仕切っている」
「誰の指示を聞けばいいのか分からない」
という状態では、新しい体制は機能しません。
ここは私自身でも本当に苦労した点です。
そこで今回は、新体制を機能させるための組織承継を
スムーズに進めるためのポイントを4つにまとめました。

1. 「院政」「二頭政治」をつくらない
会長(前経営者)と社長(後継者)が両方とも経営に口を出すと、社員は混乱してしまいます。
「結局どっちの言うことを聞けばいいの?」という状況を避けるためには、権限と責任をはっきりさせることが必要です。
2. 権限移譲は書面で見える化
よくあるのが「名前は社長だけど実際は決裁できない」というケース。
これでは後継者が力を発揮できません。
そこでおすすめなのが、権限移譲計画を一覧表で可視化です。
・どの業務を誰が決めるのか- ・いつまでに権限を移すのか
この2点をしっかり書いておくだけでも、承継がぐっと進めやすくなります。
3. 従業員との関係性強固
新社長にとって一番大変なのは、従業員との関係づくりです。
「この人は営業全般、この人は人事」といったように、誰が何を担当するのかを明確にしましょう。
そうすることで、新社長が組織をまとめやすくなり、リーダーシップも発揮しやすくなります。
4. 次世代の育成を早めに準備
次世代の幹部や、後継者社長にとってのNo2の育成も必要です。
「そろそろ役員になってもらえない?」と直前で打診しても、
本人の気持ちが離れていたら遅いのです。
早めに声をかけて育てていくことが、優秀な人材をつなぎとめるポイントです。
まとめ
事業承継は「株」や「税金」だけでなく、組織をどう引き継ぐかが成功の分かれ目です。
・会長と社長の二頭体制を避ける- ・権限移譲を文書で明確にする
- ・幹部の役割をはっきりさせる
- ・次世代幹部やNo2を計画的に育てる
この4つを意識するだけで、新体制はスムーズに機能しやすくなります。
新社長は、古参社員から信頼を勝ち取ると同時に、
自分の代からの採用・教育も同時並行で行っていく必要があります。
さらには、その異なる属性の社員を統合するプロセスも必要になってきます。
それらの統合する労力は決して簡単ではありません。
簡単ではないゆえに、早期取り組みが求められます。
何を守り、何を残し、何を変革しますか?
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄