2025年10月26日
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社会保険料を滞納して銀行融資を申請してはいけない2つの理由と、今すぐ取るべき行動
365日ブログ
3,009日目
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
毎月の資金収支が限界ギリギリ・・・
そんな中、社会保険料を未納にしている会社から「銀行融資で未納分を一括納付したい」という相談を受けることがあります。
残念ながら、その融資が実行される可能性は極めて難しいのです。
今回はその理由と、未納がある状態からどう立て直すかを解説します。
(1)「なぜ銀行融資は難しいのか」
① 資金繰りが悪化している証拠
社会保険料とは、会社が従業員のために支払う公的義務です。
これを滞納しているということは、そもそも資金繰りが相当厳しいというシグナルです。
銀行は融資したお金を返してもらわなければなりません。
そのためには、資金繰りが無難に推移していることが前提となります。
社会保険料さえ支払えていない会社に、銀行は「確実に返済できます」とは判断ができません。
② 社会保険料支払いという“社会的義務”を果たしていない先への融資は不適切
支払いが厳しいという背景は理解できます。
しかし、社会保険料の納付は、会社が社会に存在する以上の義務です。
融資判断において「社会保険料未納」という状態は重大なマイナス材料です。
(2)「実務的に銀行がチェックするポイント」
・銀行、信用保証協会、公的金融機関は、申請書類・決算書・納付状況から社会保険料の未納・滞納を確認することが多いです。- ・特に「差押えリスク」があると判断されると、融資審査はほぼアウトです。社会保険料滞納による差押え実例も増えており、銀行側がそのリスクを非常に重視しています。
- ・「納付状況が良好」であることが前提です。
(3)未納がある会社が取るべきステップ
1.未納を放置せず、早期に相談・支払計画を立てること
社会保険料の納付が「重荷だから払わない」という選択肢ではなく、「どのように支払うか」を先に銀行・年金機構・健康保険組合と相談することが重要です。
2.資金繰りの可視化・改善を急ぐこと
回収→支払いのタイミングズレ、資金余裕が無いという構造を、資金繰り表・月次試算・キャッシュフロー予測などで明らかにし、手元資金をプラスに持っていく道筋を立てましょう。
3.対策を講じた上で、銀行や保証協会・公的金融機関と早めに相談窓口を設定
状況が改善されていなければ、「融資で滞納分を一括」という相談自体が逆効果になります。状況を整えてから、銀行に「支払計画あり・返済可能性あり」の体制を示すべきです。
まとめ
社会保険料の未納は、単なる“1つの支払い漏れ”ではなく、「資金繰りが破綻寸前」「信用力に大きな傷」という意味合いがあります。
銀行融資を検討する前に、未納分の支払いを先行させる・資金繰り体質を改善する・金融機関と誠実に対話する――この順番を守らなければ、融資はまず通りません。
手元資金に余裕がない状態でも、“滞納しない”選択肢を優先してください。
支払いを先延ばしにしないことが、信用を守る一歩です。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





