2025年9月14日
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事業承継で理念を引き継ぐ3つのポイント

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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です
事業承継時における「理念の継承」
中小企業における「事業承継」は、単なる社長の交代ではありません。
経営権や株式を引き継ぐだけでなく、
創業者の想いや企業の「理念」をどう受け継ぐかが、会社の未来を左右します。

実際に、理念がうまく伝わらなかったことで従業員の士気が低下したり、
取引先との信頼関係が揺らいだりするケースは少なくありません。
なぜ「理念の継承」が事業承継において重要なのか?
理念がぶれると、組織は迷走する
「利益重視」と「社会貢献重視」、「品質第一」と「効率重視」など、
企業の方向性を示す価値観はさまざまです。
もし、創業者と後継者の理念にズレがあると、社員はどちらを信じればよいのか戸惑い、業務の質やモチベーションが低下する恐れがあります。
理念は信頼の土台となる
従業員、取引先、金融機関…。
企業を支えるさまざまな関係者は、経営者の考え方や理念に共感して協力しています。
その理念が継承されないと、「あの会社、最近変わったね」といった不信感を招き、関係性が崩れてしまう可能性もあります。
理念を引き継ぐ3つのポイント
1. 後継者に理念を「見える化」して伝える
理念は、口頭だけで伝わるものではありません。
経営計画書、社内研修、評価制度など、さまざまな形で文章化・仕組み化し、後継者が自然と理解・体現できるような環境づくりが大切です。
2. 社内外に理念を共有するタイミングをつくる
社長交代のタイミングは、関係者に改めて理念を伝えるチャンスです。
新体制のスタートにあたり、就任挨拶や社内イベントを通じて「これからも変わらぬ想いで経営していく」という姿勢を示しましょう。
3. 理念と数字を結びつける
理念は抽象的になりがちですが、財務戦略や資金計画とリンクさせることで、より実行力を持たせることができます。
税理士は、理念を経営数値に落とし込むお手伝いができます。たとえば、「地域密着」を掲げる会社なら、販管費の配分や投資方針にもその理念を反映させるべきです。
創業者と後継者の橋渡し
事業承継は、会社の歴史と未来をつなぐ大切なプロセスです。
単に後継者を決めるだけでなく、「経営理念をどう伝え、どう実践させていくか」が成否を分けるポイントになります。
後継者が安心して経営できるよう、今から理念の“見える化”と仕組みづくりを進めておきましょう。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄