2023年10月8日
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医療法人が発行する領収書にはインボイスの登録番号は必ず必要?
365日ブログ
2,260日目
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です
今月からインボイス制度が始まっていますが、
業種・業態によっていろんな質問や確認が続いています
先日特徴的な質問を受けたのが、医療法人のお客様です
通常の業種だと、
インボイスの登録番号を記載できるように
システムがアップデートされたりします
お客様がシステム側に確認したところ、
「医療の場合だと患者が一般消費者のため、
インボイスの登録番号を登録できるような
システムのアップデート等は予定しておりません」
と回答を受けました
売上側の対応手順としては、
登録番号の記載のみで通常は事足りますが、
そもそも登録番号の登録ができないのは少し困りますね
たしかに一般消費者は消費税の税務申告義務はありません
そのためほぼその通りなのですが、
必ずしもそうではないケースもあります
例えば健康診断の費用
会社の福利厚生費で従業員の費用を経費扱いにする場合には、
やはり医療法人の登録番号記載の領収書が必要になってきます
その他の自費の医療費等も、
毎回経費扱いにする業種は極めて限定的かもしれませんが、
特別な事情があれば会社経費にする場合もあり得るかもしれません
そのような場合には登録番号を記載した領収書を求められます
そもそもシステムが対応していない場合で、
患者が登録番号の記載がある領収書を
求めてきた場合にはどうすれば良いのでしょうか?
まずは自社の登録番号を記載した、
ゴム印をアマゾンなどで用意しましょう
1,000円程度で作ることができます
インボイス制度は、
1つの書類だけで完結しない場合には
合わせ技で形式を整えることが認められています
ではこの登録番号をすべての領収書に押印が必要でしょうか?
答えはNoです
すべての領収書に押印をすることはかなり煩雑です
ほとんどの患者の方が医療費を消費税の申告で
必要になる場合は限定的であることを考えると、
希望者がいた場合のみ押印することで
業務負担を下げることができます
そのためお客様にご案内したのは、
受付などの案内文で、
「インボイス制度に対応した領収書が必要な場合にはお声がけください」
このような案内文を作成して、
希望者がいた場合のみ対応しましょう、と方針を決めました
そもそもインボイス制度上、
課税事業者でインボイスの登録番号を記載しないことは、
あまり想定していないと思います
ですが、
システム側でこのような未対応の場合も
現実としてあり得るかもしれません
あるいは飲食店や美容などのBtoCでも、
レジの改修や購入が難しい場合もあると思います
そのような場合には、
上記のように希望者のみ登録番号を押印をするなど、
応急処置的な対応でひとまず乗り切ることができます
制度と現実
一致しないことはよく起こります
まずは重要な部分を優先的に対応することを心がけたいところです
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄