2025年12月25日
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銀行融資のカギ!「債務償還年数」とは?計算式と改善のポイント
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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
銀行が融資審査を行う際、特に重視する指標の一つに「債務償還年数」があります。
この数値が長くなればなるほど、銀行は「返済能力が低い」と判断し、融資を渋る傾向にあります。
逆に、この指標を適切に管理することで、融資を有利に進めることが可能です。

今回は、銀行が見ている「債務償還年数」の計算式や目安、改善するためのポイントについて解説します。
債務償還年数の計算式
債務償還年数とは、文字通り「現在の利益水準で、借入金をあと何年で完済できるか」を表す指標です。 一般的に、以下の計算式で求められます。
債務償還年数 = 有利子負債 ÷ (営業利益 + 減価償却費 - 法人税等)
この計算式で使われる用語の意味は以下の通りです。
・有利子負債 銀行からの借入金や社債など、「金利」を支払う必要のある負債の合計額です。- ・分母(営業利益 + 減価償却費 - 法人税等) 会社が1年間で実際に生み出し、返済に回すことができる手元のキャッシュ(簡易キャッシュフロー)の目安を示します。
銀行が判断する目安は「10年」と「5年」
銀行は算出された年数を見て、企業の返済能力を格付けします。重要な分岐点は「10年」と「5年」です。
10年を超える場合:要注意
債務償還年数が10年を超えると、銀行は「返済能力に懸念がある」と判断します。
この水準になると、追加融資が難しくなったり、融資条件(金利や担保設定など)が厳しくなったりする傾向があります。
5年以下の場合:優良
逆に、債務償還年数が5年~7年以内であれば適正範囲、5年以下であれば「返済余力が十分にある」と高く評価されやすくなります。
債務償還年数を改善する3つの方法
決算書の数字を整え、債務償還年数を改善するためには、以下の3つのアプローチが重要です。
1.営業利益の向上 本業の利益を増やすことが最も基本的な改善策です。売上の拡大や経費の削減を見直します。
2.有利子負債の削減 手元資金に余裕がある場合は繰り上げ返済を行い、分子である「有利子負債」を減らします。
3.減価償却費の活用 実は、減価償却費は計算式の「分母(返済原資)」に足し戻される項目です。設備投資による減価償却費の増加は、法人税を抑える節税効果があるだけでなく、計算上は「キャッシュフロー(返済原資)」の増加として扱われます。 つまり、適切な設備投資は「節税」と「債務償還年数の改善」を両立できる有効な手段となり得ます。
まとめ
銀行員が審査で必ず「債務償還年数」をチェックしますし、
経営上においても重要なKPIになります。
まずは自社の債務償還年数をチェックしてみましょう。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





