2025年4月11日
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心裡留保(民法93条)と虚偽表示(民法94条)

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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です
民法上で意思表示を定めた条文で、
心裡留保(民法93条)と虚偽表示(民法94条)があります

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1. 心裡留保(民法93条)
(1)概要
「心裡留保」とは、表意者が意思表示をする際に、その意思表示の内容と内心の意思が異なることを自ら認識している場合を指します。
例)Aさんは冗談のつもりで自分の車を友人Bさんに売ると言ったが、本当は売るつもりがなかった場合。
(2)要件
- 表意者が内心の真意とは異なる意思表示をすること。
- 表意者自身がそのことを知っている(内心の不一致の認識がある)こと。
(3)効果
- 原則として有効です。
- ただし、相手方がその内心の意思を知っていたか、または知ることができた場合(悪意または有過失の場合)には、その意思表示は無効になります。
2. 虚偽表示(民法94条)
(1)概要
「虚偽表示」とは、相手方と通じて(相手方との合意の上で)真意とは異なる虚偽の意思表示を行うことを指します。
例)債権者から財産を差し押さえられることを防ぐため、実際には売る気がないのに、知人と口裏を合わせて不動産を売却したように装うケース。
(2)要件
- 表意者と相手方の双方が真意ではないことを承知した上で意思表示を行う(通謀)こと。
(3)効果
- 当事者間では、その意思表示は無効となります。
- しかし、善意(虚偽表示であることを知らない)の第三者に対しては、その第三者を保護するため、有効であると主張することができません(善意の第三者には無効を主張できない)。
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ポイントは、
心裡留保は、基本的に本人の内心だけの問題であり、
相手方がそれを知っていた場合のみ無効になるということです
虚偽表示は、当事者間で合意があるため、
当事者間では必ず無効になります
ただし第三者の取引安全のため、
第三者が善意である場合は保護されます
実際線引きが難しいものもあったりしますし、
会社運営上で特に重要な法務関係や不安なことは、
司法書士や弁護士などプロにチェックを
していただくことがベターですね
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄