2025年12月10日
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クラウド会計導入の明暗。なぜA社は成功し、B社は挫折したのか
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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
スタートラインは同じでも…自計化の明暗を分けるもの
自社で会計業務を進めることを「自計化」といいます。
今年の9月頃から、クライアント2社に対して自計化を進めるために、クラウド会計ソフト「freee」の導入支援を行いました。
たまたまではありますが、この2社は決算月も同じ。 私が提供した導入手順のフォローも、お渡しした参考資料も、まったく同じ条件でスタートしました。
それから約3ヶ月が経過した今、2社の状況はどうなったか。
実は、真っ二つに明暗が分かれる結果となりました。

「順調に進む会社」と「諦める会社」
1社は、非常に順調に進みました。
基本の会計業務に加え、人事労務の基本操作まで自社で行えるようになり、大きな成果を上げています。
一方で、もう1社は全く進みませんでした。
何度かトライしたものの、最終的には「自計化は諦める」という結論に至ってしまったのです。
同じ時期に、同じ資料で、同じ人間がサポートしたにも関わらず、なぜこれほどまでに結果が違ってしまうのか。
実は、これまでも自計化が上手くいかないケースを多々見てきました。
その経験から、私は「自計化成功のポイント」は大きく2つあると考えています。
ポイント1:本気で改善しようとする「意志」
1つ目は、シンプルですが「本気で改善しようとする意志があるかどうか」です。
これは会計に限った話ではありませんが、本人の意思がないところに、外からやる気を起こさせるのは至難の業です。
結局のところ、当事者が「本気になれるかどうか」に尽きます。
・今のままではマズイという危機感があるか- ・絶対に変わるんだという決断があるか
私もそうですが、人間は「本気で決断」しない限り、行動には移せません。
ポイント2:経営者からの「鼓舞」
2つ目のポイントは、経営者による現場への鼓舞です。
もちろん、経営者が自ら会計ソフトに入力する必要はありません。
実務は経理部や総務部が担当することになるでしょう。
しかし、方針の決定や進捗の共有は、経営者も一緒になって進める必要があります。
なぜなら、現場にとって「自計化」は、強烈な負荷がかかるからです。
今まで慣れ親しんだシステムや業務フローをガラッと変えることは、現場の担当者にとって相当なストレスです。
さらに言えば、従業員の方々からすれば、あえて苦労してやり方を変えるインセンティブ(動機)は薄いのが本音でしょう。
・従来通りのやり方- ・前年踏襲
- ・現状維持
はっきり言って、これらが一番「楽」だからです。
最初の意思があるだけでは、ダメなのです。
その意思を継続させなければいけません。
「なぜやるのか」を伝え続ける役割
現場が「大変なことをあえてやる意味」を見失いかけた時、それを支えるのが経営者の役割です。
・「今、これを乗り切らないと会社が危ない」- ・「タイムリーに経営状況を把握できないと、資金調達も投資判断もできない」
そういった「会社としての切実な理由」を伝え、現場を鼓舞し続けること。
実は失敗した会社に足りなかったのはここでした。
全体ミーティングをお願いしても、経営者の方は参加はしていただけませんでした。
能力の有無ではありません。
「熱量」を持って伝え続けられるかどうかが、プロジェクトの成否を分けます。
能力に大差はない。「やるか、やらないか」
大前提として、同じ人間ですから能力にそれほど大きな差は無いと考えています。
成功した会社とそうでない会社の違いは、結局のところ「やるか、やらないか」だけなのだと感じています。
今日取り組んだ行動のひとつひとつが、複利計算のように積み上がり、やがて大きな成果へとつながっていきます。
もし今、業務改善や新しいシステムの導入で足踏みされているなら、一度「本気度」と「目的の共有」を見直してみましょう。
そして私の実力不足も認識しています。
もっとわかりやすく、もっと適切なサポートをできるように研磨していきます。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





