2025年6月21日

カテゴリー:

資金繰り


据置期間とは?メリット・デメリット

365日ブログ 

2,882日目 


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄です



財務は調達→投資→回収の順に考えていきますが、

必ずまずはお金を集めるところから始まります



事業を始める時や、大きな設備投資を行う際、

銀行からの融資は心強い味方です



その時に、融資の条件で



「据置期間」



を提案される場合があります



内容に疑問に思う方も多いのではないでしょうか



融資における「据置期間」の基本的な意味から、

具体的なメリット・デメリットを知っておきましょう



そもそも「据置期間」とは、

融資を受けた後、元金の返済が始まるまでの猶予期間のことを指します



通常、融資を受けると翌月や翌々月から

「元金+利息」の返済がスタートします



しかし、据置期間を設定すると、その期間中は

利息のみを支払い、元金の返済は待ってもらうことができます



言葉だけだと分かりにくいので、具体的な例で見てみましょう。


【条件】

  • 融資額: 3,000万円
  • 返済期間: 5年(60ヶ月)
  • 返済日: 毎月末


● 据置期間が「ない」場合

融資を受けた翌月から、すぐに元金の返済が始まります。

  • 毎月の元金返済額: 3,000万円 ÷ 60ヶ月 = 50万円
  • 返済開始: 融資実行の翌月末から60回の返済がスタート


● 据置期間を「10ヶ月」設けた場合

最初の10ヶ月間は利息のみを支払います

  • 据置期間中 (10ヶ月間): 利息のみを支払い、元金の返済はゼロ
  • 返済開始: 融資実行から11ヶ月目に、残りの期間(50ヶ月)で元金の返済がスタート
  • 据置期間終了後の毎月の元金返済額: 3,000万円 ÷ 50ヶ月 = 60万円


このように、据置期間を設けると、期間終了後の毎月の返済額は大きくなります



据置期間の最大のメリットは、手元の資金を有効活用できる点にあります



特に、以下のような状況では大きな助けとなります

  • 事業の立ち上げ期: 売上が安定するまでの運転資金を手元に残しておける
  • 大規模な設備投資の直後: 新しい機械などが利益を生み出すまでの間の資金繰りを支える


据置期間中は元金の返済負担がありません



その分のお金を広告宣伝費や仕入れ費用、

人件費などに回すことができ、

事業をスムーズに軌道に乗せることが可能になります



手元の資金が増えるならぜひ設定したいと思うかもしれませんが、

デメリットも理解しておく必要があります



次の融資審査に影響が出る可能性があります



据置期間中は元金の返済が進んでいないため、

金融機関から見れば「返済実績が積まれていない」状態です



そのため、据置期間中に新たな融資を申し込んでも、

審査で不利になってしまう可能性があります



また、総支払利息額が増えます



忘れてはならないのが、

据置期間中も利息は発生し続けています



元金が減らないまま利息を払い続けるため、

結果的に総支払利息額は据置期間がない場合よりも多くなります



メリットとデメリットを天秤にかけ、

自社の事業計画に本当に必要かどうかを慎重に見極めることが大切です



公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄

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