2025年9月21日
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事業承継は5年計画で始めよう

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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
私自身も2代目の会計士・税理士です。
「事業承継」というプロセスを経て今に至りますが、
振り返ってみても5年は必要なプロセスだったと感じます。
「事業承継」と聞くと、多くの方が「株価対策」や「相続対策」のイメージを持つかもしれません。
しかし本来の事業承継とは、「会社がさらに成長をするためのイベント」と捉える機会です。
今回は、5年~10年スパンで考えるべき事業承継の考え方と、
失敗しないための可視化する手法について解説します。

1. 事業承継は「継ぐ」だけでなく「成長へのイベント」と捉える戦略
・事業承継は先代の単なる引退イベントではなく、後継者が会社をさらに成長させる機会- ・重要なのは「税務対策」や「法的手続き」よりも、想いの言語化→何を大切にし、何を守っていくか
- ・経営者と後継者が同じ未来を見据えられる二人三脚での体制構築が必要
2. 事業承継は最低5年、理想は10年の長期スパン
・承継は物的財産の引継ぎ(株式・財産)+人的財産の引継ぎ(経営判断・組織文化)- ・5年~10年をかけて、徐々に移行していくのが理想
- ・「まだ早い」と思っているうちに、時間切れになるケースも
- ・逆算式の承継スケジュールを立てることが成功の鍵
3. 成功のカギは「見える化」|文書・数値・図で共有
・経営者と後継者の間での認識ズレは致命的→じっくりと調整する- ・見える化の方法:
- ◇経営理念やビジョンの文書化
- ◇売上・利益計画などの数値化
- ◇組織図・役割分担などの図式化
- ・見える化=「共通認識の記録」であり、後継者の行動指針になる
4. 「事業承継5年カレンダー」の作成で全体を俯瞰
- ・記載項目例:
- ◇代表交代の予定年
- ◇株式移転や相続・贈与のタイミング
- ◇各年の売上・利益予想
- ◇後継者が主導する事業戦略
- ◇組織体制や人材配置の計画 等
- ・カレンダー化することで、将来の課題や調整ポイントが一目瞭然に
5. 後継者のモチベーションと自覚を引き出す
・「経営を引き継げ」と言うだけでは、後継者の自覚は芽生えにくい- ・10か年計画を共有することで、自分の役割や未来が明確に見える
- ・モチベーションアップ → 実行力・リーダーシップへとつながる
- ・経営陣・幹部とも計画を共有することで、組織の納得感と一体感が生まれる
「まだ早い」ではなく、少しずつ準備を始めましょう!
私自身の体験を振り返ってみても、
覚悟を決めて取り組みだしました。
そこからすべてを順風満帆に、
クリアできたわけではありませんでした。
先代は先代で、長年会社を守ってきた尊厳や自信があります。
後継者は後継者で、これからやっていきたいことがあるはずです。
時には衝突することもあるでしょうが、
現実直視をして、1つずつ乗り越えていきましょう。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄