2025年8月22日
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経営状況を見誤らない!税理士が教える貸借対照表の重要性

365日ブログ
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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です
経営判断の難しさと中小企業の現状
「今、うちの会社は順調なのか?」
この問いは、経営者なら一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、日々の営業や業務に追われるなかで、
財務状況の確認はどうしても後回しになりがちです。
その結果、売上や利益といった目先の数字だけを頼りに経営判断をしてしまい、
資金繰りに行き詰まるケースも少なくありません。
そこで注目すべきなのが「貸借対照表」。
企業の財務基盤を映し出すこの表を正しく理解すれば、
経営の方向性を大きく誤るリスクを減らすことができます。
本記事では、税理士の視点から「貸借対照表の重要性」と
「実務での活かし方」を解説します。
経営判断における貸借対照表の役割
貸借対照表が示す企業の「健康診断書」とは?
貸借対照表(バランスシート)は、ある時点の資産・負債・純資産の状況を示すものです。
損益計算書が1年間の「成績表」だとすれば、貸借対照表は会社の「健康診断書」。
たとえ利益が出ていても、借入金が過大だったり、資金繰りが逼迫していれば、経営は危うい状態です。貸借対照表を読み解くことで、将来のリスクや改善点を早めに把握できます。

税理士が見るべきポイント3選
貸借対照表の中でも、経営判断に役立つ3つの指標があります。
- 1.自己資本比率:会社の安定性を測る指標(30%以上が望ましい)
- 2.流動比率:短期的な支払い能力(200%以上が理想)
- 3.固定比率:固定資産が自己資本でどの程度まかなわれているか
これらを毎月チェックすることで、黒字倒産や資金ショートを未然に防ぐことが可能です。
中小企業に見られるよくある誤解と注意点
「黒字倒産」のリスクをどう防ぐか
「利益が出ているのに現金が足りない」——
これは典型的な黒字倒産のパターンです。
売掛金の回収が遅れたり、在庫が積み上がったりすると、
帳簿上は黒字でも手元資金が不足します。
貸借対照表を丁寧に確認すれば、こうした資金繰りの危険信号を早期に察知できます。
実際に遭遇した失敗事例と改善策
ある製造業者では、売上増加に気を取られて過剰な設備投資を実施。
その結果、キャッシュフローが悪化し、資金ショート寸前に陥りました。
そこで、貸借対照表を基に資産構成を見直し、
- ・不要な固定資産の処分
- ・借入金返済計画の再構築
- ・月次資金繰り表の導入
といった対策を行ったことで、経営を立て直すことができました。
貸借対照表を経営に活かすための具体的な活用法
定期的に確認したい3つの指標
貸借対照表を定期的にし、次のチェックを習慣化しましょう。
- ・自己資本比率が30%以上あるか?
- ・流動比率は200%以上を維持できているか?
- ・借入金が資産に対して過大ではないか?
数字の変化を把握することで、経営リスクを未然に防げます。
経営者向けチェックリスト(税理士推奨)
・月次決算を実施する- ・損益計算書と貸借対照表をセットで確認する
- ・会計ソフトを活用し、財務状況をタイムリーに把握する。
これらを実践するだけで、経営判断の精度は格段に向上します。
まとめと結論(経営者が今すぐできること)
中小企業にとって、貸借対照表は「会社の健康状態を守る羅針盤」です。
損益計算書の数字だけに頼らず、貸借対照表を定期的に確認することで、
資金繰りの不安を解消し、確実な成長戦略を描くことができます。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄