2026年1月23日

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経営判断の基準を作る考え方


「利益は意見、現金は事実」を実践する:キャッシュフロー分析で見抜く企業の真実


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄です。 



「利益は出ているはずなのに、なぜか資金繰りが苦しい……」



クライアントからこのような相談を受けることはあります。



私達の業界にはこのような格言があります。



利益は会計方針や見積もりによって変動する「意見」に過ぎませんが、通帳にある現金は動かしようのない「事実」であるという意味です。




1. なぜ「利益」だけでは不十分なのか?



「黒字倒産」という言葉が示す通り、利益が出ていても現金が枯渇すれば企業は存続できません。



損益計算書(PL)上の数字と実態の乖離を生む主な要因には、以下のようなものがあります。



  • 売掛金の回収遅延: 売上は計上されても、現金が入ってこない。
  • 在庫の過剰な増加: 資金が「棚卸資産」に形を変えて眠ってしまう。
  • ・急激な設備投資: 減価償却費として費用化される前に、多額の現金が流出する。



そのため損益の把握に加えて、「なぜ現預金が増減したのか」という理由を明確に説明する役割が求められています。




2. キャッシュフロー分析



キャッシュの増減には大きくわけて3種類あります。



期首の現預金残高が以下の3つの要素を経て、どのように期末残高に至ったかを視覚化できます。



  1. 1.営業活動によるCF: 本業でしっかりと現金を生み出せているか。
  2. 2.投資活動によるCF: 将来のために適切な投資を行っているか、あるいは資産を切り売りしているか。
  3. 3.財務活動によるCF: 借入による資金調達や、返済の状況は適切か。



特に「営業キャッシュフローがマイナス」の状態は、本業で現金が流出している危険信号です。早急な原因究明と対策の提案が必要となります。




3. キャッシュフローのパターンでフェーズを診断



キャッシュフローの3区分のプラス・マイナスの組み合わせを分析することで、企業が現在どのような経営フェーズにあるのかを客観的に把握できます。

パターン営業CF投資CF財務CF企業の状況(例)
健全・成長期本業で稼ぎ、投資しつつ借入も返済している。
積極投資型本業の稼ぎと借入の両方を投資に回している。
再生・構造改革期±本業の不振を資産売却などで補っている。



例えば、営業CFがプラスで投資CFがマイナスのパターンは、将来への布石を打っている「健全な成長状態」を示します。



このようにパターン化して伝えることで、クライアントは自社の立ち位置を冷静に理解できるようになります。




4. まとめ



損益は解釈でどのようにもなりますが、現預金は唯一の「事実」です。



「利益が出ているから大丈夫」という安易な判断を避け、必ずキャッシュフロー分析を併せて確認する習慣をつけましょう。



公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄

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