2025年11月21日

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経営判断の基準を作る考え方


黒字転換・赤字転落、それぞれの局面でやるべきこと


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄です。



黒字転換と赤字転落は、どちらも「要注意ゾーン」です。



決算書を見ていると、



  • ・長年の赤字からようやく黒字転換した会社
  • ・安定黒字から一気に赤字転落した会社



どちらも、社長の判断次第でその後3〜5年が大きく変わる局面です。



黒字になったからといって油断すると、
無理な投資や増員であっという間に資金繰りが悪化します。



逆に赤字だからといって、感情的にコストを切りすぎると、
売上の源泉まで壊してしまう危険もあります。



ここでは「黒字転換したとき」「赤字転落したとき」に
それぞれ社長が押さえておきたいポイントを簡潔に整理します。






黒字転換したときにやるべき3つのこと



① 黒字の原因を「自分の言葉」で説明できるようにする



まずは、なぜ黒字になったのかを数字で確認することです。



  • ・売上が増えたからか
  • ・粗利率が改善したのか
  • ・固定費(人件費・家賃・広告費等)が下がったのか
  • ・単発案件・一時的要因ではないか



「今期の黒字は○○が理由です」と


一言で言える状態になっていれば、次年度以降も再現しやすくなります。




② 利益だけでなくキャッシュ残高も追う



黒字=安全ではありません。



  • ・手元資金が月商の何ヶ月分あるか
  • ・売掛金・在庫にお金が寝ていないか
  • ・来期の法人税・消費税で資金繰りが苦しくならないか



特に黒字初年度は税負担が増えるので、

簡単な資金繰り表を作り、半年〜1年先までの現金残高を確認しておきましょう。




③ 銀行説明と投資判断は「慎重スタート」が正解



黒字転換は、銀行との関係を良くするチャンスです。



  • ・黒字になった理由
  • ・今後の事業計画
  • ・借入や設備投資の必要性



これを簡単な資料にまとめ、決算説明を行うと信用度が上がります。



一方で、設備投資・増員・事務所拡張などの固定費アップは黒字2期連続を見てからでも遅くありません。


「1年様子を見る」くらいの慎重さが、会社を守ります。




赤字転落したときにやるべき3つのこと



① 感情論ではなく「どこで赤字になったか」を分解する



まずは数字で原因を分解します。



  • ・売上の減少(数量・単価・客数)
  • ・原価の悪化(仕入値上昇・ロス増加)
  • ・固定費の増加(人件費・家賃・広告・外注費)
  • ・特別損失・一時的な要因



「景気が悪い」「人件費が高い」だけで片づけず、
決算書・試算表を使って具体的に特定することが、改善の出発点です。




② 「今すぐ止血」と「中期的な構造改善」を分ける



全部一気に変えようとせず、



  • ・すぐにやめられるムダな支出(広告・サブスク・不採算案件など)
  • ・時間をかけて見直すべきもの(人員構成、価格改定、事業の選択と集中)



時間軸で分けて整理します。



「まず3ヶ月でやること」「1年かけて変えること」を分けると、現場も動きやすくなります。




③ 資金繰りと銀行対応を最優先でチェックする


赤字そのものより怖いのは資金ショートです。



  • ・今の資金であと何ヶ月持つか
  • ・月々の返済額と、今後の借換・追加融資の余地
  • ・必要ならリスケ・運転資金の相談をいつ誰にするか



これを整理したうえで、
簡単な「改善方針」と「資金計画」を作り、銀行と早めに共有することが重要です。




まとめ



  • ・黒字転換期
    • 黒字の理由を言語化
    • キャッシュ・税金をチェック
    • 投資は慎重に、銀行にしっかり説明


  • 赤字転落期
    • 原因を数字で分解
    • 止血と構造改善を分ける
    • 資金繰りと銀行対応を最優先



黒字転換期、赤字転落期2つの局面で資金不足に陥る危険性があります。



いずれの局面も、資金管理を重要視しましょう。 



公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄

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