2025年11月21日
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黒字転換・赤字転落、それぞれの局面でやるべきこと
365日ブログ
3,035日目
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
黒字転換と赤字転落は、どちらも「要注意ゾーン」です。
決算書を見ていると、
・長年の赤字からようやく黒字転換した会社- ・安定黒字から一気に赤字転落した会社
どちらも、社長の判断次第でその後3〜5年が大きく変わる局面です。
黒字になったからといって油断すると、
無理な投資や増員であっという間に資金繰りが悪化します。
逆に赤字だからといって、感情的にコストを切りすぎると、
売上の源泉まで壊してしまう危険もあります。
ここでは「黒字転換したとき」「赤字転落したとき」に
それぞれ社長が押さえておきたいポイントを簡潔に整理します。

黒字転換したときにやるべき3つのこと
① 黒字の原因を「自分の言葉」で説明できるようにする
まずは、なぜ黒字になったのかを数字で確認することです。
・売上が増えたからか- ・粗利率が改善したのか
- ・固定費(人件費・家賃・広告費等)が下がったのか
- ・単発案件・一時的要因ではないか
「今期の黒字は○○が理由です」と
一言で言える状態になっていれば、次年度以降も再現しやすくなります。
② 利益だけでなくキャッシュ残高も追う
黒字=安全ではありません。
・手元資金が月商の何ヶ月分あるか- ・売掛金・在庫にお金が寝ていないか
- ・来期の法人税・消費税で資金繰りが苦しくならないか
特に黒字初年度は税負担が増えるので、
簡単な資金繰り表を作り、半年〜1年先までの現金残高を確認しておきましょう。
③ 銀行説明と投資判断は「慎重スタート」が正解
黒字転換は、銀行との関係を良くするチャンスです。
・黒字になった理由- ・今後の事業計画
- ・借入や設備投資の必要性
これを簡単な資料にまとめ、決算説明を行うと信用度が上がります。
一方で、設備投資・増員・事務所拡張などの固定費アップは黒字2期連続を見てからでも遅くありません。
「1年様子を見る」くらいの慎重さが、会社を守ります。
赤字転落したときにやるべき3つのこと
① 感情論ではなく「どこで赤字になったか」を分解する
まずは数字で原因を分解します。
・売上の減少(数量・単価・客数)- ・原価の悪化(仕入値上昇・ロス増加)
- ・固定費の増加(人件費・家賃・広告・外注費)
- ・特別損失・一時的な要因
「景気が悪い」「人件費が高い」だけで片づけず、
決算書・試算表を使って具体的に特定することが、改善の出発点です。
② 「今すぐ止血」と「中期的な構造改善」を分ける
全部一気に変えようとせず、
・すぐにやめられるムダな支出(広告・サブスク・不採算案件など)- ・時間をかけて見直すべきもの(人員構成、価格改定、事業の選択と集中)
と時間軸で分けて整理します。
「まず3ヶ月でやること」「1年かけて変えること」を分けると、現場も動きやすくなります。
③ 資金繰りと銀行対応を最優先でチェックする
赤字そのものより怖いのは資金ショートです。
・今の資金であと何ヶ月持つか- ・月々の返済額と、今後の借換・追加融資の余地
- ・必要ならリスケ・運転資金の相談をいつ誰にするか
これを整理したうえで、
簡単な「改善方針」と「資金計画」を作り、銀行と早めに共有することが重要です。
まとめ
・黒字転換期- 黒字の理由を言語化
- キャッシュ・税金をチェック
- 投資は慎重に、銀行にしっかり説明
・赤字転落期- 原因を数字で分解
- 止血と構造改善を分ける
- 資金繰りと銀行対応を最優先
黒字転換期、赤字転落期2つの局面で資金不足に陥る危険性があります。
いずれの局面も、資金管理を重要視しましょう。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





