2025年10月22日
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電子帳簿保存法とは?

365日ブログ
3,005日目
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
「電子帳簿保存法」は、企業が帳簿や書類を電子的に保存するためのルールを定めた法律です。
特に中小企業や個人事業主も対象となることから、
「何をどう対応すれば良いのか分からない」という声も多く聞かれます。
この記事では、電子帳簿保存法の概要、企業が押さえるべき実務対応について解説します。

電子帳簿保存法の対象とは?
電子帳簿保存法では、以下の3種類の保存方法が定義されています。
① 電子帳簿保存
会計ソフトなどで作成した帳簿・決算書等を、データのまま保存する方法。
事前申請不要で、一定の要件を満たせばOK。
② スキャナ保存
領収書や請求書などの紙書類をスキャンして保存する方法。
こちらも現在は事前申請不要になっています。
③ 電子取引データの保存(最重要)
メール添付やクラウド上でやり取りした請求書・領収書等の電子データは、紙での保存が認められず、データ保存が義務化されています。
企業が対応すべき実務ポイント
以下の対応をしておくことが、電子帳簿保存法への適切な対応に直結します。
✅ 1. 保存要件を満たしたシステムを導入
・改ざん防止のためのタイムスタンプ機能- ・検索機能(取引年月日・金額・取引先で検索できる)
- ・ファイルの保存・削除履歴の管理
→ おすすめツール例:「freee」「マネーフォワードクラウド」など
✅ 2. 社内規程の整備
・「電子帳簿保存に関する規程」「業務マニュアル」の作成- ・監査時に備えた記録保持体制の明文化
✅ 3. 社員への周知と業務フローの見直し
・経理担当だけでなく、営業・総務も巻き込んだ対応が必要- ・メールで受領した請求書の保存フローを全社で統一する
電子帳簿保存法に違反した場合のリスク
対応を怠ると、以下のようなリスクが生じます:
・青色申告の承認取消
→ 税務上の優遇措置を失う可能性があります。- ・重加算税のリスク増大
→ 書類改ざんがあった場合に、悪質とみなされるおそれも。 - ・税務調査時の指摘リスク
→ 調査で「保存要件を満たしていない」と判断されれば、ペナルティ対象に。
まとめ:電子帳簿保存法は“経営リスク”への備え
電子帳簿保存法は単なる「保存ルール」ではなく、会社の経理体制そのものを見直すチャンスです。
特に中小企業にとっては、
「経理のDX化」「ペーパーレス化」「業務効率化」を一気に進める絶好のタイミングでもあります。
いきなりすべてを変えるのではなく、
スモールステップで改善を進めましょう。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄