2025年12月8日
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AIに頼りすぎると人がダメになる?|生成AI時代の人材育成と評価制度の新設計
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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
「ChatGPTに聞けば全部わかる」
「Copilotが議事録を作ってくれるから、会議中は聞いていなくても大丈夫」
生成AIが急速に普及する中、社内でこんな声を聞くことが増えていませんか?
確かに、AIは業務効率を劇的に向上させる強力なツールです。
しかし、その便利さに依存しすぎると、「思考停止」に陥るリスクがあります。
特に中小企業では、限られた人材がAIに頼りすぎることで、本来培うべき「判断力」や「創造性」が失われてしまう危険性があるのです。
今回は、AI時代の組織作りで重要なポイントを解説します。

思考停止の3つの兆候
生成AIを活用している企業で、社員に以下のような兆候が見られる場合は要注意です。
1.検証しない AIが出力した情報を疑わず、そのまま鵜呑みにして業務に使用している。- 2.仮説を立てない 「AIに聞けば答えが出る」と考え、自分で仮説やアイデアを考えることを放棄している。
- 3.判断を委ねる 重要な意思決定の場面でも、AIの回答に依存し、自分の意見を持たなくなっている。
AI活用の「3ステップ原則」
こうした思考停止を防ぐため、社員がAIを使う際は必ず以下の「3ステップ」を踏むようにルール化することをおすすめします。
ステップ1:AIに聞く まずはAIに質問し、情報やアイデアの種を得る(効率化)。- ステップ2:自分で検証する AIの回答が正しいか、データや事実(ファクト)で裏付けを取る。
- ステップ3:判断する 検証した情報をもとに、最終的には「自分の責任」で判断を下す。
評価制度に「思考プロセス」を組み込む
従来の評価制度は「結果」を重視しがちでしたが、AI時代は「思考プロセス」も評価対象に組み込む必要があります。
・AIの回答をそのまま使わず、きちんと検証を行ったか?- ・自分の判断で結論を出したか?
- ・失敗した場合、AIのせいにせず振り返りを行えたか?
こうした点を評価項目に加えることで、AIを使っても「考える力」を失わない人材を育てることができます。
まとめ
生成AIは「答えを教えてくれる先生」ではなく、あくまで「考えるための補助輪」として位置づけるべきです。
AIと人の役割分担を明確にし(AI=計算機・助手、人=仮説を立て責任を持つリーダー)、思考プロセスを正しく評価する。そして、検証と判断の習慣を身につけさせることが大切です。
中小企業も生産性向上は必須ですが、このバランス感覚も大切だと実感します。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





