2025年11月30日

カテゴリー:

出口戦略と財務戦略


売り手・買い手双方が知っておきたい「レーマン方式」の読み解き方


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄です。 



M&Aの相談をすると、ほぼ必ず出てくるのが「レーマン方式」という成功報酬の計算方法です。


「〇億円×〇%と言われたけど、高いの?妥当なの?」


と、売り手・買い手どちらも気になるポイントでもあります。






1.レーマン方式ってそもそも何?



レーマン方式とは、「取引金額に応じて段階的な料率を掛ける」成功報酬の算定方法です。


(例:

  • 5億円までの部分:5%
  • 5〜10億円の部分:4%
  • 10〜50億円の部分:3% … など)



たとえば、株式譲渡価格が7億円で、上記のような料率だとすると、



  • ・0〜5億円部分:5億円 × 5% = 2,500万円
  • ・5〜7億円部分:2億円 × 4% = 800万円



合計 3,300万円+消費税 が成功報酬、というイメージです。



ポイントは、



「全体に一律で◯%ではなく、“階段状”に料率が変わる」


という点です。




2.「取引金額」とは何を指すのか?



レーマン方式で意外と見落とされがちなのが、「何に料率を掛けるか」という定義です。



よくあるのは次のようなパターンです。



  • ・株式譲渡の場合:株式価額(株式の売買代金)
  • ・事業譲渡の場合:事業譲渡対価+引き継ぐ負債の一部
  • ・買い手側報酬の場合:企業価値(株式価額+有利子負債)をベースに算定



同じ「10億円のディール」でも、



  • ・株式価額だけを取るのか
  • ・有利子負債も含めた企業価値を取るのか



どちらの算定式によるかでフィーは変化します。



契約書では、



「成功報酬の算定基礎となる取引金額とは、◯◯◯をいう」


といった条文が必ずあります。


ここを読まずに「パーセンテージだけ」で判断しないことが、売り手・買い手共通の重要ポイントです。




3.売り手・買い手それぞれの「要注意ポイント」



① 売り手側が注意したいこと



1)下限報酬・ミニマムフィーの有無


たとえ取引金額が小さくなっても、最低◯◯万円はかかるという条項が入っているケースが多いです。
「想定より安く売ったのに、手数料は高い」という不満は、ここを見落とすことで生まれます。



2)分割払いやアーンアウトに対する扱い



  • ・クロージング時に受け取る金額
  • ・将来の業績に応じて追加で支払われるアーンアウト(出来高払い)
    これらを「全部まとめて取引金額とみなす」のか、「将来受け取った分だけ追加で手数料が発生する」のか、契約前に確認しておきましょう。



② 買い手側が注意したいこと



買い手側報酬の場合、仲介会社がどのタイミングでフィーの請求が発生するかは要確認です。



特に、ディールが途中で流れた場合の費用負担(中止時費用・着手金・月額報酬)を含めて、「買収検討コストの総額」を事前に把握しておくことが大切です。




4.まとめと実務アドバイス




レーマン方式は、


  • ・何に料率を掛けるのか(取引金額の定義)
  • ・階段の刻み方とパーセンテージ
  • ・ミニマムフィーの有無
  • ・将来対価等の扱い



といった条件次第で、仲介会社によって手数料総額は大きく変わります。



売り手・買い手どちらの立場でも、


  1. 1.契約前に、実際の想定売却金額でシミュレーションしてみる
  2. 2.他の仲介会社・FAとの見積り比較を行う
  3. 3.税理士・会計士・M&Aアドバイザーなど、第三者の目線でチェックしてもらう



この3ステップを踏んでおくことで、「こんなに掛かるとは思わなかった…」という後悔をかなり防ぐことができます。


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄

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