2025年11月28日
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「社長に万が一」が起きても会社と家族を守るためのシンプル財務チェック
365日ブログ
3,042日目
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
中小企業では、社長=会社そのもの、というケースがほとんどです。
もし突然「社長に万が一」が起きたら——会社の資金繰り、家族の生活、借入の個人保証はどうなるでしょうか。
本記事では、縁起でもない話をあえて正面から捉え、今すぐ確認できる“最低限の財務準備”をコンパクトに整理します。

1. 社長に何かあったとき、何が起こるか
社長不在で起こりがちなことは、ざっくり次の3つです。
・売上減少・取引先や銀行の不安- ・銀行借入の条件変更・個人保証問題の表面化
- ・家族の生活費・相続税・借入返済資金の不足
これらを「事前の準備」でどこまで和らげるかがポイントです。
2. 会社を守るための3つの準備
① 半年〜1年分の“時間を買う資金”があるか
・月商の1〜3か月分の手元資金- ・いざというときに使える銀行枠(当座貸越・コミットラインなど)
② 経営者保険の目的と金額は妥当か
・保険金の受取人は「会社」になっているか- ・節税優先ではなく「運転資金と借入返済をどこまでカバーしたいか」で設計しているか
③ 自社株と後継者の整理
・自社株を誰が何%持っているか把握しているか- ・将来、誰に株を集めるのか“ざっくり方針”だけでも決めているか
3. 家族を守るための3つの準備
① 家族の月間生活費を把握しているか
・毎月いくら必要かを書き出す- ・遺族年金、預貯金、保険の年金受取りでどこまでカバーできるか確認
② 相続税・借入返済の一時金のメド
・相続税が発生しそうか、試算したことがあるか- ・生命保険、死亡退職金で納税資金や借入返済をどこまで賄えるか
③ 遺言・家族会議の有無
・誰が会社を継ぐのか- ・株や不動産をどう分けるのか
・簡単でもよいので家族と話したことがあるか、公正証書遺言の検討をしたことがあるか。
4. 個人保証・担保の整理は時間がかかる
社長個人の保証や自宅担保は、急には外せません。
・メインバンクに「将来的に保証を減らしたい」と相談したことがあるか- ・決算書の内容改善・自己資本の積み上げに取り組んでいるか
- ・5〜10年かけて少しずつ保証・担保を軽くする“長期戦”と考える
5. まずは今日から実践
最後に、今日すぐ見直せる4つの質問です。
・メインバンクと「将来の事業承継・万が一のとき」について話したことがありますか?
・手元の現預金は、月商の何か月分ありますか?
・経営者保険の「目的」と「保険金額」を言葉で説明できますか?
・家族の生活費(毎月)と、ざっくりした相続税の規模を把握していますか?
万が一のことは、万が一のことが起こってからでは対処できません。
今からできることを取り組んでいきましょう。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





