2025年8月18日

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経営判断の基準を作る考え方


脱毛サロン業界の傾向から、経営者が学ぶべき3つの教訓

365日ブログ 

2,940日目 


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄です


1. 相次ぐ倒産、その裏で何が起きている?



2025年上半期だけで、脱毛サロン業界では12件の倒産が発生しました。
これは前年の約3倍という異常な増加です。

そして業界最大手「ミュゼプラチナム」を展開するMPHがついに破産しました。
顧客124万人、従業員3000人超に影響が及び、社会的にも大きなニュースとなりました。



2. 倒産の背景とインパクト



脱毛サロン業界はここ数年で競争が激化しています。

コロナ明け以降、広告費や店舗運営費の増加に加え、

物価高で消費者の美容支出が減少しています。

新規顧客は減少し、定額会員の継続率も低下しています。

その結果、前受金に依存した経営モデルの限界が露呈しました。



3. 教訓①:前受金ビジネスの限界



前受金は「売上」と見えますが、同時に「将来の責任」でもあります。

資金繰りに余裕がないまま広告や出店に投じれば、

倒産という最悪の事態を招きます。



4. 教訓②:広告費と売上のバランス崩壊



売上を伸ばそうと広告費を増やすのは自然な発想です。
しかし広告依存の集客が鈍化すれば、固定費だけが重荷となり、一気に資金ショートへ。

広告は「攻めの投資」ですが、回収の仕組みがなければ逆効果です。



5. 教訓③:固定費と変動費の見極め



賃料や人件費といった固定費は、売上が0でも支出があります。

特に都市部の出店は賃料リスクが大きく、売上減少時に致命傷となります。

固定費を変動費化できないか、定期的なコスト構造の見直しが不可欠です。



6. 自転車操業に陥る構造とは



「新規契約の前受金で、過去の施術を賄う」——。

この循環が崩れた瞬間、資金ショートは避けられません。

いわば時間差で破綻が表面化する構造的赤字体質を早期に改善できるかが重要です。



7. 赤字企業の共通点を税理士の視点で



多くの赤字企業に共通するのは、キャッシュフローの見通しの甘さです。

PL(損益計算書)上では黒字でも、現金がなければ倒産は免れません。

経営計画には必ずキャッシュフロー予測を組み込み、

「手元資金ベース」で意思決定することが求められます。



8. 売上至上主義からの脱却



「売上が伸びればなんとかなる」ではなく、

「利益と現金が残るか」に経営の本質があります。

数字をどう解釈するかで、経営の安定性は大きく変わります。


9. 事業再構築や撤退判断のポイント



市場が厳しい中では、撤退も立派な戦略です。

赤字事業に資金を注ぎ続けるのか、それとも再構築するのか。

早めの意思決定を行うことが生死を分けます。


10. 持続可能な経営のために



市場の変化を読み解くことは経営者の重要な役割です。
一時的なブームに流されず、資金繰りとコスト構造を常に点検する姿勢が、持続可能な経営のカギとなります。

数字を正しく読み解く力が経営を左右します。

一緒に、自社の経営体質を強くしていきましょう。


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄

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