2026年3月3日

カテゴリー:

出口戦略と財務戦略


M&A仲介手数料:レーマン方式の注意点


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄です。 



M&Aを検討し始めると、仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)から提示される手数料体系に「レーマン方式」という言葉が出てきます。



業界で最も広く使われている料率体系ですが、同じ「レーマン方式」でも計算の前提(基準額)が違えば、手数料は大きく変わります。契約前に押さえておきたいポイントを整理します。



レーマン方式の基本構造



レーマン方式は、取引金額に応じて段階的に料率が下がる仕組みです。下記は例です。

取引金額料率
5億円以下の部分5%
5億円超~10億円以下の部分4%
10億円超~50億円以下の部分3%
50億円超~100億円以下の部分2%
100億円超の部分1%



例えば、取引金額が8億円であれば、5億円×5%+3億円×4%=3,700万円が手数料となります。



最大の注意点:「何に対して」料率をかけるか



レーマン方式で最も注意すべきは、料率をかける「基準額」の定義です。



仲介会社によって主に以下の3パターンがあり、同じ料率でも手数料額が大きく変わります。



① 株式価値(譲渡対価)基準


実際の株式の売買価格(譲渡対価)に料率をかけます。売り手が受け取る金額がベースになるため、直感的でわかりやすい方式です。



② 移動総資産基準


株式価値に有利子負債を加えた金額に料率をかけます。借入金が多い会社ほど基準額が膨らみ、手数料が高くなります。



③ 企業価値(EV)基準


株式価値に純有利子負債(有利子負債-現預金)を加えた金額に料率をかけます。



移動総資産基準よりは低くなることが多い一方、株式価値基準よりは高くなりがちです。



具体例で比べる



株式譲渡価格2億円、有利子負債3億円、現預金5,000万円の会社を売却するケースで比較します。



  • 株式価値基準:2億円 × 5% = 1,000万円
  • 企業価値(EV)基準:(2億円+3億円-0.5億円)× 5% = 2,250万円
  • 移動総資産基準:(2億円+3億円)× 5% = 2,500万円



同じ「レーマン方式(最大料率5%)」でも、基準の違いだけで手数料が1,000万円 → 2,500万円まで開きます。



その他の確認ポイント



最低手数料(最低報酬)


多くの仲介会社は「最低報酬○○万円」を設定しています。



中小企業の小規模案件では、レーマン方式で計算した金額よりも最低手数料のほうが高くなることがあります。



相場は500万円~2,000万円程度ですが、会社によって差があります。



着手金・中間金の有無


成功報酬だけでなく、契約時の着手金や基本合意時の中間金が発生する会社もあります。



途中で破談になった場合に返金の有無・精算方法も含めて確認が必要です。



売り手・買い手の双方から受領するか


仲介会社は売り手・買い手の双方から手数料を受け取るケースが一般的です。



一方、FA(片側アドバイザー)は依頼者の一方からのみ受け取ります。



双方から受領する場合、利益相反のリスクがある点は認識しておくべきです。



まとめ



レーマン方式は業界標準の手数料体系ですが、実務では「基準額の定義」「最低手数料」「着手金・中間金の有無」で実質負担が大きく変わります。



契約を結ぶ前に、仲介契約なのか、FA契約なのか、手数料の計算例を具体的な数字提示してもらい、複数社を比較することが重要です。



手数料の安さだけでなく、担当者の経験・実績、自社の業種・規模との相性も含めて総合的に判断しましょう。


公認会計士・税理士 

畑中 外茂栄

  • 【無料診断】ドンブリ経営レベル5段階
  • 【無料メール講座】7日で学ぶ!ドンブリ経営から脱却するための最初の一手
  • 【1on1個別セッション】会社の経営数字について学ぶ!

月別記事

MONTH