2025年11月5日
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「贈与した覚えはないのに…」税務署が目を光らせる『みなし贈与』とは?
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公認会計士・税理士
畑中 外茂栄です。
皆さんは「みなし贈与」という言葉をご存知でしょうか?
贈与といえば、一般的には「贈与者(あげる人)」と「受贈者(もらう人)」の双方に“あげるつもり・もらうつもり”という意思がある場合を思い浮かべるかもしれません。
しかし、税法上は、当事者間にその意思がなかったとしても、実質的に贈与と同じ経済的効果が認められれば、贈与があったとみなされ課税されることがあるのです。
これが、税務上の「みなし贈与」と呼ばれるものです。
典型例:「著しく低い価額の対価」に要注意!
みなし贈与の典型例が、「時価より著しく低い価格での財産譲渡」です。
たとえば、時価1億円の家を1,000万円で第三者から購入した場合、その差額9,000万円は“もらった”と同じ経済的効果を持つとされ、贈与税の対象になる可能性があります。

贈与税の非課税枠は年間110万円ですので、仮に9,000万円が贈与と判断された場合、非常に高額な贈与税が課されることになります。
親族間に限らない!第三者との取引でもみなし贈与になる?
多くの方が誤解しがちなのが、「贈与税は親族間だけに関係するもの」と思っている点です。
しかし、「みなし贈与」は全くの第三者との取引にも適用される可能性があります。
税法では、法律上の形式や当事者の意思よりも、取引の経済的実質を重視するという原則がありまつまり、「売買契約書があるから問題ない」「親族じゃないから大丈夫」という考え方は、税務の世界では通用しないケースがあるのです。
形式的には適法に見える取引でも、税務当局は「その取引が経済的にどんな意味を持つのか」を重視します。
形式だけを整えても、「本質的には贈与と同じ」と判断されれば、追徴課税のリスクがあるのです。
まとめ:知らずに“贈与”してしまう前に、事前に検討を
税法の世界では、「知らなかった」では済まされないリスクが多く潜んでいます。
特に不動産取引や資産の移転が絡む場面では、経済的な実質に照らして、思わぬ形で“みなし贈与”と判断される可能性があります。
事前に慎重に検討をしましょう。
公認会計士・税理士
畑中 外茂栄





